一坪書斎

書斎家ミニマリストの書斎最適化記録

読み切り小説『彼女たちの名はフリーダム』

オリジナル小説の肩慣らしで作った作品です。オリジナル小説は一年間ほどブランクがあるためです。これからは、既存のオリジナル小説の続きを書いていきます。では、ご覧ください。
***前書き***


オリジナル小説「彼女たちの名前はフリーダム」


彼女達の名前はフリーダム。自由を標榜する者。彼女達は無名の勇者だ。世界各地に必然的に発生し、自由を宣言する。彼女達の力は、その無知ゆえの自由を語ることだ。それを語る者の経緯はそれぞれだが、今日は彼女達の中でも新参者である、田中三久を紹介しよう。

彼女は、高校一年生だ。将来が有望な期待の星である。将来がまだ確定されていない歳だ。ゆえに自由を語るには根拠がなければならない。彼女は宣言する。将来が未定なままという自由を。それはこの世のすべての人々にも適応されると信じている。それは若者の特権であろう。

年齢的に若者ではない?それは偏見なのです、と彼女は言う。同年齢でも目が死んでいるような子も居ることを知っている。その子は、牧村千奈美。幼なじみであるのだけれど、昔っから人生に希望が無いような目をしているので、昔から事あるごとに励ましてきた。

それでも、彼女は変わらなかった。それは生きた屍のようだった。事実、運動が苦手で肌の色も白い。それはそれで女性としては美しい肌をしているということを考えるのだが、千奈美には全く関心事ではない。虚空をいつも見続けている。まるそこにアリジコクが巣を作って待ちかまえているのを見るように、入念に見ているようだ。
 
千奈美、いつも何をみているの?」
「三久、木の年輪を横から見ると楽しいのよ」
「なによ、突然。年輪なんてどこが面白いの?」
「縦から見ると丸い年輪なのに、つながっているのよ?不思議じゃない」
「そりゃあ、断面だからでしょう。不思議でもないわ」
「丸いのになぜつながっているの?」
「ふーむ」

いつもこうだ。千奈美は哲学者に向いているのではと、昔から思ってた。私よりフリーダムの素質があるっていうことぐらい。この話をできるのは、私くらいなモノだ。他のクラスメートは、千奈美の哲学話に着いていけなくて降参状態だ。

さっきの話は、二次元と三次元の話になると思うのだけど、彼女は数学とかはからっきしダメな子なので、縁がない。哲学の成績は彼女が同年一位であるから、やっぱり彼女は哲学者に向いているんだろうって、言われている。そんな力こそ、フリーダムには必要だから、何回か誘っているんだけれど、彼女は毎回こう捨て台詞を吐くの。

「自由を語るだけなら誰でもできるわ。それを実践している人は少ない。三久、もしその少ない人になったのなら、私を呼んでもいいわ」

っていうのよね。だから、実践しているじゃない!少ないというのが気にかかるけれど、何が異なるのかなぁ。それを発見するまでは前には進めない気がするの。私の自由だけじゃ何か足りない気がするのよね。半身ないっていうかんじ。

フリーダム・ソーシャル・ユニバーシティ(Freedom Social University:FOSU)に進学した先輩は、こう言っていたの。真に自由を求めるとするならば、自ら実践していなければならないって。だから一生懸命に頑張っているのになぁ。何か違うのかな。ブログも書いているし、SNSでグループを作って交流しているし、副生徒会長もやっているのに。自由をアピールすることは、際限なくやっているのに。

少ない人って、何だろう。どういう人なんだろう。答えは千奈美が知っているんだろうけど、聞いてみるかな?そうするしかないから。

千奈美、いつもの話だけど、少ない人ってどういう人物なの?」
「やっと、やっとか、三久。自由の根幹を質問してきてありがとう」

千奈美は装着していた眼鏡をはずした。

「な、なによ?千奈美にほめられると、何か怖いわ」
「賛美よ。何を怖がる必要がある?」
「だって、始めてのことだから…」
「まあ、いいわ。その無礼特別に許してあげるわ」
「ん?いきなり高飛車になった?」
「私は普段は、こうやって取り繕っているの。真の姿はこういう感じよ」
「猫かぶりの神域かいっ!」
「あえて言おう、猫であると!」
「ツッコミ返されたぁ〜いつもの千奈美じゃない!」
「だからそう言っているでしょ?」
「まあ、いいか。もう驚くのも慣れたから…」

千奈美は取り外した眼鏡を再装着し、いつもの口調に戻った。

「じゃあ、少ない人について話すわ」
「いつもの千奈美だ。このほうが安心するわ」
「…まあ、いいか。話はこれからよ。少ない人っていうのは、普段からその信念を実行している人のことよ。しかも見える範囲内で。自然な態度で。決して演じることなく自然に接するようにする人を、少ない人って言ったの。三久は、まだ演じている感があるから、まだまだだと感じたのよ」
「演じる…うっ…心当たりがある…」
「でしょう?まだ、本心で信じていない証拠よ」
「うぐっ!」
「急所ね」
「だって自由って抽象的すぎるっていうか、そんなかんじだから、自己流でやるしかないじゃない」
「いいえ、気づいているんじゃないの?本当の自由とは何かを」
「そりゃあ、責任ある自由のこと?」
「そうよ。わかっているじゃない。じゃあもう何をすればいいのかわかるでしょ?」
「じゃあ、政党をたてるわ!自由○○党を!」
「アホね」
「ぐはっ!」
「ふつうはそう考えるのだろうけれど…」
「ふつうじゃなければいいのね?」
「だとしても、長ったらしい名前で、短くしたら三文字になる宗教団体も却下よ」
「くそぉ…どうすればいいんだよーネタねぇーよー」
「そんなに、泣くことかしら?」

三久は、千奈美に土下座した。

「ふむ」
「もうお手上げです、正解をおくださいまし!」
「仕方ないね。自由なる者になるためには…」
「には?」
「良い言葉、心にくる言葉をまず自分自身に結実させ、そして隣人に結実させるようにすれば、自由な者になるわ」
「それだけ?」
「そう、それだけよ」

三久は、呆気にとられている。

「もっと、難しい答えがあると思った…」
「答えなんて者は、得てして簡単なものよ。そうじゃなければ、誰にでも実践できるようになれるわけないじゃない」
「これで私もフリーダムの仲間入りね!」
「いえ、私が先よ」
「へ?」
「さっき言ったとおりに、隣人に結実させなければ、普通はフリーダムは名乗れないわ」
「というと、千奈美もフリーダム志向だったの??」
「そうよ、今頃気づいたの?遅い…」
「えっ、つまり、私騙されてた??今の今まで??」
「やっと気づいたのね。三久は。とっくに私には、FOSU日本会長の八坂さんからお誘いを受けているのよ」
「ガッビーン!当てが外れた…」
「どうやら、私を戦利品扱いしようと思ってたらしいけど、甘いわね。昔っからまあ、三久と一緒で一人前かしらね…」
「どゆこと?」
「FOSUには、哲学と数学の成績がよくないと入れないの。学年一位の数学者であるあなたと私のタッグなら、FOSUに入学できるかもしれないの」
「って、普通一人しか入学できないもんじゃないの?」
「FOSUは違うの。チーム入学制度というものがあって、自由を普及させるためには、チームワークの総合力が成績の範囲内であれば、入学できるっていう制度が来年から開始されるのよ。それで半人前でも大丈夫なの」
「そんな制度があるなんて、始めて知ったよ。でも、まだ三年先の話じゃないの?」
「大丈夫よ。FOSUには、高校部もあるから」
「そっか!転入すればいいものね!」
「でしょ?だから、この話は内密にしてよね。表面上は、二人で駆け落ちしたように見かけ上はしておけばいいわ」
「か、駆け落ちって!」
「三久、声がでかいわよ」
「言葉がアレな表現だったから…ついね」
「理由はどうでもいいの。私たちがここからいなくなる理由になればいいんだから」
「そうだけど、明日転入届とかするんじゃないよね?急には、無理だよ」
「確かに、三久は生徒会で後任を決めないといけないからね」
「そうよ。その点、千奈美はどこにも所属していないからいいんだけど」
「そうね。私は単独でどこにでも行けるから。そうだわ。私と一緒に生徒会に顔を出しとけばいいわね」
「何をする気!?」
「転入するっていうことを、公然たる事実にするわけよ」
「…ここは、穏便にことを動かすこととかしないわけ・・・?」
「いや、ここは断言するように強い姿勢ですすめないといけないわ。政治力で占められている生徒会の運営方法なら、こちらも権力を奮い立たせてやるのがセオリーというものよ三久」
「何卒、お手柔らかに…すましてぇ…」
「断固たる決意で示さなければいけないわ」

そんな熱弁を奮う会話をしていたので、クラスメートが一人、こちらによってきた。

「牧村千奈美さん、なんかキャラが異なるんじゃなくて?」
「遠藤さん、これが私の真骨頂です」
「なっ!わたくし達を騙してきたんですかっ!」
「騙す?ただ気づいていなかったんでしょう?」
「まあ、いいです。どちらにせよ私たちのパワーバランスが崩れたわけではないですから。今更新勢力ができたなんかで、私たちの鉄壁の結束力にはかなわないですし」
「遠藤さん、もうそういう次元の話じゃなくなっているとしたら?」
「どういうことかしら?」
「田中三久と私は駆け落ちするの。ついでに他の高校に転入することに決めたわ」
「かっ駆け落ち!?ついでに、他校に転入って、どういう話よ!」
「ねぇ、千奈美、止めよーよ、その話は・・・」
「牧村さん、三久さんが嫌がっていますよ?やめてあげたらよろしくないですか?」
「いいの。もう既成事実はつくっちゃいましたから」
「き、既成事実!?ほ、本当ですか?三久さんっ?」
「う、うん」
「なんてこと、三久さん、いいですか?生徒会副会長であるあなたが、風紀乱れる行為をしたか、していなくても、ほのめかす発言をしたのならば、もうその席には居ては迷惑です。生徒会長である遠藤憲美の権力を行使して、田中三久さん、あなたは副生徒会長を辞めさせていただきます」
「ちょっ!えぇーーー」
「これで晴れて転入する理由ができたわね。良かったわね三久」
「嫌な後味だよー千奈美ぃぃぃ!」

一触即発の空気がクラスを占めていたが、遠藤生徒会長の宣言で瓦解した。クラスメイトは安堵の息をし、胸をなで下ろし落ち着き、いつもの風景に溶けていった。

問題の当事者である、田中三久はぼーぜんとしていた。そりゃあそうだ。今まで築き上げてきた社会的信用が一気に崩壊したからだ。しかも風紀乱れる理由を原因として。

「まあ、さきほどの駆け落ちの件については、口外を禁じておいてあげるわ。それくらいはさしあげてあげるわ。体面は保つことはね」
「あー良かったー…」
「何にせよ、三久さんは、後任の推薦を決めておいてくださる?それぐらいの責務は果たしてくれないといけないわ」
「はい。わかりました。遠藤生徒会長」
「それで、話の渦中にアリジコクみたいに鎮座している、牧村さんは、どうしますか?生憎、どこにも所属していないので、風紀的に乱した罪を負わせることが何もできないのですが。何か責任を感じているのなら、積極的に宣言してほしいのですか?」
「そうですね。バウムクーヘンを今一週間は禁止とする処置ならば、受けましょう」
「あー。だから千奈美さっきから、教室の木目を見ていたんだ・・・」
「牧村さんの好物ですか?バウムクーヘンが?」
「そうです。一枚一枚外して食べるのが趣味です」
「そう。では、それで了承しましょう」
「へっ?そんな軽い処分でいいわけ!?」

ずりっとスッコけた三久。それもそうだ。あまりにも処分基準の差がありすぎる。

「なんか、処分に差があるのではー」
「社会的信用が保てる、という特典を破棄してもいいのなら、重くしますが?」
「あ、いいです。破棄しないでください」
「でしょう?私が善処したんですよ。少しは感謝なさい。一年生だけで生徒会長と副生徒会長の座を確保できたのは、あなたの数学力と私のリーダーシップがあったからこそできたものよ。だからその感謝を使い果たせてもらったの」
「生徒会長。なんか今、仏様のように神々しく見える・・・」
「転入しても、生徒会を牛耳ることを欠かせないでくれます?そうしなければ、半年かけて制圧した大村女子高校の生徒会出身という経歴を生かせないですから!」
「おぉーありがたやー」
「では、頑張ってくださいね。三久さん期待しています」

笑みを返して、遠藤憲美生徒会長は、その場を去った。

「ふー。どうにか体面は保てたね」
「私的には、もっときれいにサッパリに荒廃して辞退したほうが良かったんだけど」
「それは、もう無理…」
「嘘よ、冗談よ。泣かないで」
「う…う、それで、土日はどうするの?」
「もう予定は決まっているわ。八坂先輩に会う約束をしているの」
「やっ、八坂先輩から!?すごいじゃない!」
「じゃあ、三久、明日、駅前のショッピングモールの中のカフェ・モリゾーで10:00に待ち合わせね」
「了解!」

そうして、千奈美と三久は下校した。その夜、ベットに寝ようとしていた田中三久は、スマートフォンを片手にSNSサイトを閲覧していた。そこのフリーダムのグループに今日あったことを書き込んでいた。

【逆伝道されました☆テヘペロ】

というタイトルで。本文は以下の内容である。

『ミクです!今日、クラスメイトにまた何度目かわからないアタックをしていたのですが、実は、すでにフリーダム志望だった子でした。逆に実績をつくられました。こんなことになるなんて、正直思わなかったです。これなら、もっと他の人にアタックしていればなぁと思いましたが、親友が私と同じ意見だったことはとても嬉しいなって思います。確か、FOSUの新入学制度は二人以上のチーム入学制度があるとかなんとか。もう一人誘ってみようかなって思っています。成功するかなぁ?』

と入力して、提示版に書き込んだ。

「これでよしっと!そして、ノリミーに明日、紹介したい人がいるってメールしておこう。確信犯の気持ちってこういう感じなのかなぁ…グフフ…あそうそう、千奈美にも連絡連絡っと」

三久は、明日の作戦を千奈美にも伝えるために、メールをした。そして返信がきたようだ。

「ふむふむ。『良いアイデアね!リーダーシップが必要だったし、三人なら良い連携ができそうだから』っようし!これで決まりね。ノリミーには悪いけど、進路決めさせてもらうわ」

なんか、急展開ですが、これで明日の計画は無事完了。ノリミーこと、遠藤憲美生徒会長の運命もゆだねられました。三久の思いつきで。

そして、当日、カフェ・モリゾーに9:30には、田中三久、牧村千奈美となんか挙動不審な遠藤憲美が三人でモリゾー特製カフェラテを飲んでいた。最初は強ばっていた憲美だったが、三久と千奈美のノリのいい感じに和んだ。フフフ…

「三久、大体話の全貌は理解したわ。千奈美ちゃんの進路のことも理解したわ。でも不可解な点があるの」
「なに、ノリミー?」
「そのフリーダムって、政治団体?宗教団体?何なの?意味不明なんだけど」
「うーむ。千奈美、お願い」
「はーい。フリーダムは、政党でも宗教でもないわ。それらを超越した第三の存在。公益団体よ。世界には国連NGOとして認可されているわ。私たちの目標は、フリーダムメンバーの国際的人格の成長を実現することよ。極端に言うとね」
「つまり、平和系の団体ってことかしら?」
「そう。そう受け取っても構わないわ。つまりは、その"国際的人格"の成長を達成する人材を育てるのが、FOSUなの。似たような団体としては、国連大学があるわね。まあ、競合するところもあるけど」
「で、私にそこに誘っているというわけね」
「そう。でも無理にとは言わないわ。憲美さんの進路もあることだし。しかし、はっきり言うと、政治的な指導力をもっと極めたいんなら、今の高校では、どこかで頭打ちになるのは明白よ。実績も継承できないし、将来のキャリアプランを練るにせよ、不自由なままよ?…これが私たちが提供できる見解」
「うーむ…それって今ここで結論を出さないといけないわけ?」
「今、ここで出してほしい。その方が効率がいいの。今日紹介する人が、FOSU日本学生会長なのよ。事実上日本のトップリーダーと会うことになるわ。そこで決めた進路は頑なな約束となるわ。どう?」
「…ふぅ・・・いいじゃない!やってやろうじゃない!私のリーダーシップをなめるんじゃないわよ!」

静かなカフェに憲美の声が響く。

「ノリミー、ここは教室じゃないんだから、静かにして〜」
「あ・・・ごめんなさい」

憲美は顔を赤くした。

「まー、そう言う感じで、進路は決定といことで間違いないわね?憲美さん」
「いいわ」
「じゃあ、八坂さんが来るまで一杯目のカフェラテを飲んでしまおうね。ノリミー、千奈美

ここ、カフェモリゾーは、フリードリンク制の一風変わったカフェである。モリゾーセレクションの飲み物だけお変わり自由である。一杯ごとに店員がいれてくれるので、味は格別だ。ホテルクラスの味が楽しめる。

さて、和気藹々としている三人の背後から、客人が一人やってきた。長い黒髪をポニーテール状に結っている大学生である。

「あ、千奈美さんですか?」

千奈美が後ろを振り返ると、優しそうな美人がそこに佇んでいた。

「おぉ!八坂先輩!どうぞ、こちらの席へ」

千奈美が隣の席をあけた。

「ありがとうございます。千奈美さん。ところで、紹介したい方がおられると聞いたのですが、このお二人ですか?」
「は、はい!」

遠藤憲美が緊張した顔で答えた。

「ノリミー、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ、食ってかかりはしないって」
「あなたが、三久さんですね?」
「はい、三久です。SNSのFOSUグループで、ミクとして活動させてもらっています!」
「やっぱり、話し方がミクさんらしいなって思いました」
「ありがとうございます」
「そちらの方は?」

ミクの隣に座っている、遠藤憲美に手を向けた。

「は、はい!遠藤憲美、大村女子高校一年生で、生徒会長やっています」
「へぇーすごいですね。一年生で指導者なんて。どんな活躍をしたのかしら。あ、そっか三久さんが確か副生徒会長だったね」
「そうです。憲美ことノリミーとでタッグを組んでのし上がりました」
「頼もしいわ。申し遅れたわね。私は、FOSU女子大の一年生、八坂こごみです。どうぞよろしく」
「不躾な質問ですが、良いでしょうか?」
「どうぞ、憲美さん」
「FOSUは、共学ではないのですか?」
「うーんとね、いえ、共学ではないんですよ。男女別の学校になっているんです。教育方針として、学問に集中できるように、共学にはしなかったんです。恋愛御法度ではないんですが、得てしてそうした恋愛に夢中になる方は、学業との両立が困難になる場合があるんです。例外の方もおりますが、そうした風になっているんです」
「そうでしたか。ありがとうございます。安心しました」
「大学院は、共学ですけどね」
「大学院もあるんですね」
「はい。あの域に到達できる人は少ないんですけど」
「…では、三久、憲美、八坂先輩。そろそろ本題に入って良いでしょうか?」
「ええ」×3

牧村千奈美は、どこから取り出したのか、わからないが、ホワイトボードを取り出した。そこには、FOSU女子高校転入の件についての説明書きが書かれていた。特にチーム入学制度の注意点などが書かれている。

千奈美さん、用意周到ですね」
「ありがとうです。昨日考えて書きました」
「私たち三人が転入する際に、用いる、チーム入学制度について話をさせてもらいます。この入学制度は来年から実施されるのですが、プレ実施として、私たち三人がその前哨戦のような感じで特別に招待されたんです。このチーム入学制度の特徴が、次の三つです

一つ、成績を補う形とする : とは、FOSUの必要スキルとして、数学と哲学、そして指導力の三つがあります。それをチーム入学制度によってそれぞれを分業した形として一人分とすることができるんです。
二つ、常に複数人で活動すること : これが一番の特徴なんですが、常にチームで行動することなんです。うける授業も複数人で計画して補っていくことが求められます。
三つ、卒業点数も複数人のアベレージで決める : これがチーム入学制度の難しい点です。入学当初は三分の一のスキルだったとしても大丈夫ですが、卒業する時には、複数人全員が一人分の成績を確保していなければならないんです。つまりは、一人でも平均点数以上ではない場合、留年になり、それは他のメンバーも道連れになります。

以上、チーム入学制度についての概略を紹介しました」

パチパチパチと拍手で終わった。

「厳しいのね。門は広くとも、出て行くには狭き門ということか」
「そうなの。憲美さん。でも憲美さんなら、数学と哲学の点数はトップ3入りしているから、転入しても上位10位以内にはいるだろうから、大丈夫よ。問題は、私たちね。私、千奈美は、哲学については大丈夫だけど、数学は平均値くらい、指導力は、平均並くらいね」
「わたしはー。数学は大丈夫だけど、哲学は並。でも指導力は並の上くらいかな」

八坂先輩は、腕を組んで考えている。

「そうなると、三人で一人前ね。でも大丈夫、協力しあえば、卒業時にはみんなアベレージは通過しているはずよ。私は参考例にならないと思うけど、期待値はすべて越えていたから入学できたけど、一人でこなすためには、大変なことは確かよ。音大や美大生並に研磨する必要性があるわ。入学試験はあるけど、三人一緒なら文殊の知恵ね。チームワークで解いていけば問題ないわ」
「はー良かったー」

テーブルにぐたーっと手をのばす、三久であった。

「三久、いくら安心したとはいえ、そう手をテーブルにのばすものじゃないわよ」
「だってーさぁ。やっと希望が見えたんだし、緊張感を解放したいじゃんノリミー」
「まあ、確かに緊張の糸が切れたわね。ふー…」
「どうやら、チームワークは良好ね」

モリゾーコーヒー、特製のカフェラテを飲み干した八坂は、感想を一言いった後、こう語った。

「じゃあ、この書類に三人とも、サインしてちょうだい」
「・・・?推薦状!」
「八坂先輩の認め印つきだ!」
「すごい・・・」
「ささ、三人とも、驚いていないで早くサインしてください。次の予定もあるので」

三人は、FOSU高等部の推薦状に名前をサインした。これで、転入する際に、圧倒的力で転入できるようになる。FOSU日本学生会長である八坂こごみのサインありの推薦状だ。これ以上のものはない。

「ありがとうね。三人とも。これで私も+3よ」
「+3?」
「三久、FOSUの紹介方法の点数よ。この点数によって成績が変わってくるんだから」
「え?授業とかの成績が成績になるんじゃないの?千奈美
「FOSUは確かに授業評価も点数になるけど、第二の点数が、こうしたFOSUの理念の紹介及び伝播することも成績になるのよ。言わなかったけ?」
「言ってなかったよ、千奈美
「なら、今、理解してよね」
「じゃあ、三人とも、来月には転入できるようにお願いしますね。ではよろしく」
「はい!」

そうして、八坂こごみは去っていった。

「おぉ〜」

三久はまた脱力した。

「これで、何もかもが決まったわね。二人とも、ごくろうさま」
千奈美は最初っから何もかも知っていた口調だったよね」
「そりゃあね、事前の打ち合わせはしていたわ。憲美さんが来るということ以外は」
「あ!そうよ、そうなると、後任の生徒会長候補を決めないといけないじゃない!」
「今更気づいたの?ノリミー」
「半年かけて形作ったのに。まあ、しょうがないか。FOSUへ行く踏み台にさせてもらうわ」
「うっわー腹黒ーい」
「何を言いますの、三久も十分腹黒いわよ。腹黒い私と一緒に戦ってきたんだから」
「まあ、そうなるけどねー」
千奈美、憲美さんじゃあ、これから頑張っていきましょ!」
「うぃーす!」
「了解したわ」

これで、三人のFOSU高校部へ転入する算段がついた。彼女らの活躍はまたの機会に。無敵の三人だ。どんなことも切り抜けられるだろう。三本の矢は折りがたい。それを証明する高校生活、ゆくゆくは大学へ進学することになるかもしれない。この三人に期待しよう。彼女達の名はフリーダム。となるために。

End

***後書き***
どうも。オリジナル小説のリハビリとして、作ってみました。思いつきで考えたアイデアで、そのまま発想していきました。ここで出てくるチーム入学制度みたいなものが本当にあったら、いいんですけどね。設定としては、ゆる〜く考えたので、名前とかも直感で発想したものをつけたままです。リハビリなので、そこまで深く設定してしまうと遊びの部分が生かせないと思ったからです。

ご感想とかよろしくお願いしますヽ(^o^)丿