Seia Mia Story

闘病ニートのminimalistへの道のような日記

小説 その8「音楽を奏でる蕎麦職人」

彼はいつでも、蕎麦を打つ。彼にとってはそれはいつものことだった。しかしそんか彼がいつ頃だったか、蕎麦と話が出来るようになってから、彼は、変わり出した。

彼は元々大人しい、寡黙な存在だった。蕎麦職人になったのも、そうした性格ゆえな理由があったからだ。

蕎麦「旦那、旦那、腕が止まってますよ。素早くこねてください。そうしないと美味しくならないですよ」

彼「あ、ああ、こ、こうかな」

蕎麦「そうですよ。良い気分ですね。それくらい軽快にやるとコシが出て来ますよ」

彼の軽快なリズムのある打ち方は、店の評判を呼んだ。まるで音楽を奏でるように打つ打ち方は、蕎麦という古き食べ物に芸術感を感じるようになった。

そしてその音楽を楽しむために、店内の音楽は彼の打つ音が選ばれ、流しているほどだ。

彼はそれで味を感じたのか、打ち方の音をパーカッションに、ミュージックアーティストとコラボレーションしてみるアイディアを店長に進言した。

店長は、蕎麦の味が落ちない程度に挑戦するのなら、やっていいと了承した。彼ははじめて嬉しい顔をした。その理由は、彼もまた音楽家を志していた時があったのだ。彼の知人でミュージシャンをしている人に頼んで、打ち方音をサンプリングし、パーカッションとして蕎麦屋に合う音楽として作曲した。

それがさらに評判を得て、蕎麦職人アーティストとして、いったんデビューしそうになったが、ある夜、蕎麦を打っていると、声が聞こえた。

蕎麦「最近、あまりコシが少ない蕎麦になっているよ。音楽もいいけれど、本当にそれで君は良いの?」

彼「私は…打ち手でありたい」

蕎麦「そうだろう?でも音楽家の夢は諦めるなよ、二足の草鞋を履くけども、リズムある美味しいそばを打てるのだから、その可能性にかけてみろよ。お前には四つの手足があるんだから。草鞋も足りるだろ?」

彼「そうだな。やってみるよ」

そうして、彼は蕎麦職人でありながら音楽家として成功して行ったのでした。二足の草鞋を履いて。


end...


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とっさに、蕎麦と音楽で作品を作りました。はじめはどういう作品ができるのか不安でしたが、どうにかなるものですね。ではまた。