Seia Mia Story

闘病ニートのminimalistへの道のような日記

小説 その3「小熊のアイルの幸せ」

小熊のアイルの幸せ

 

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ある小さな島に、アイルという小熊が住んでいました。アイルは生まれつき、お母さんとお父さんがいない孤児でした。そんなアイルに幸せな出来事がおこりました。

 

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アイルと男

 

それはある人間が島にやってきた話から始まります。

 

男「ここにいるはずだ。我が子よ、我が子よ、どこに行ってしまったのか」

 

痩せこけた男が島に大きい板でやってきた。たくさんの時間を使って、男は島にやってきたのだった。それはただひとつの目的のために。

 

男には娘がいた。しかし彼が乗船していた船が壊れて、家族が離ればなれになってしまったのである。

 

そして幸運にも娘が乗っていた大きな板が流されていくのを、見た人が大勢いたことだった。不幸中の幸いである。男は妻に娘を探しに行くと伝えてここまでやってきたのであった。

 

しかし、その父親は怪我をしていた。それは両目がほとんど見えないという怪我だった。そして彼は一度も娘を抱いたことがなかった。娘が生まれて間もない状態であったからだ。

 

そして、彼は幸運にも島に着いた。ここが娘がきた場所かもしれないからだ。

 

「エリー、わが娘よ。どこにいるんだい?」

 

そうすると、小熊のアイルが父親の前にでてきた。アイルは、男が目が見えないことを知った。そこで、いたずら好きなアイルは、赤子の鳴き声を発した。

 

「おぎゃーおぎゃー」

「おお!エリー。目の前にいるんだね!」

 

男はアイルの身体をさわった。

 

「おお、なんということか。誰かが娘を毛布でくるんでくれたようだ。こんなにふさふさだ。ありがとう、ありがとう」

「おぎゃー」

「顔をさわらしておくれ。ん?どうしたのだ、わが娘よ。フードもつけてくれたのか。ありがとう。見知らぬ人よ。だからこんなに暖かいのだね」

 

アイルは生まれて初めて抱っこを経験した。お父さんがいればこうしてくれたのかなと思った。

 

「我が子よ、ああ、なんて軽いんだ。時間がたってしまったけどこれからはうんとたくさんの食べ物を食べて大きくなるんだよ」

 

そういうと、男はアイルを抱っこしたまま、砂浜に倒れ込んだ。船が難破してからずーっと娘を探してきた男は疲れ切っていたのだ。

 

「お父さんは、少し休むよ。エリー。我が娘よ、元気で生きるんだよ・・・・・・」

 

アイルは知った。もうこの人間が目覚めないことを。本当の父親のように抱っこしてくれたこの人間に感謝するために、アイルは、人間がやってきた大きい板に人間をくくりつけて、海に返していった。

 

アイルはまた一人きりになった。けれど、人間の、父親の娘への愛を感じたアイルは一人ではなかった。

 

きっとアイルはここでたくましく生きていけるだろう。

 

 

end....

 

 

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小島にすむ小熊の物語を書いてみました。1000文字弱の短い物語でしたが、ちょいっと悲しいけれど、アイルにとっては幸せな出来事でした。