Seia Mia Story

闘病ニートのminimalistへの道のような日記

小説 その2「小さな魔法の奇跡」

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祈り

ある町に小さな魔法を使うことのできる少女がいた。彼女はその小さな魔法で子供達の小さな願いを実現することを楽しんでいた。

 
彼女の名前はエミー。子供達の間でエミーの事を知らない子供達はいないほどの有名人だった。
 
そんなことを好き好まない大人たちは、彼女を忌み嫌い、魔女だと口々に言っていた。子供達を巻き込んで悪魔を召喚する闇魔術をしているのだと。
 
 
 
子供は母親に言った。
「ねぇ、なんでエミーをいじめるの?エミーは私の願い事を叶えてくれたんだよ?」
「あれは魔女なんだ。魔女だから処罰されなきゃいけないんだよ」
「お母さんの嘘つき!エミーは優しいよ。そんなことしていないよ!お母さん大っ嫌い!」
 
「エミーめ。私の子を独り占めしやがって、許すものか!」
 
大人たちは、子供達にエミーの所には行ってはいけないと、口止めをして続けた。
 
そしてある日の事、大人たちはエミーの家の前にやってきて、石を投げていった。
 
 
「魔女め、出て行けー!」
「薄汚い女狐め、消え失せろ!」
「お前がいると、うちの子供が腐るんだよ!」
 
どの言葉も真実ではなかった。しかし大人たちは、子供達の話題がエミーのことばかりなので、嫉妬心が芽生えていたのだろう。その鬱憤をすべての元凶である彼女を悪者にしたてあげて、罵声を浴びさせているのだ。
 
それらの行為により、エミーの顔中は、あざだらけになってしまったのである。
 
その形相から、
 
「醜悪な魔女エミー」
 
というレッテルを貼られ、暴徒化した大人たちにより、エミーの家は半ば半壊するほどに壊されてしまった。
 
そんな声に、エミーは自宅に引きこもるようになっていった。
 
そんな凡愚な大人たちを、恨みではなく、微笑みで返していった。エミーはただ純粋な子供のように祈り、すべての大人たちが幸せであるようにと祈り続けた。
 
しかし、大人たちはそんな純粋な姿を、我々を蔑んで見ていると勘違いし、町中を、連日連夜、練り歩くデモを開くほどに拡大して行った。
 
そのデモを沈静化させるために、警察はエミーを保護する形をとることにした。まだ15歳の少女であったので、保護を最優先としたのだ。
 
だが、そんな態度をとる警察をデモ参加者は、魔女を擁護していると非難した。
 
そして、ある事件が起きた。暴徒化した民衆の中に子供を連れていた母子が、狂乱したデモ参加者により圧殺されてしまったのである。
 
この事件をきっかけに、デモは沈静化し、大人たちは自己を冷静に内省するようになった。
 
最初はただの嫉妬心から生まれた行動が、拡大し、関係のない政治などの恨みが乗じて暴徒化していったことを、思い返した。
 
この瞬間こそ、エミーが願っていた瞬間だった。
 
その日から、暴徒化した民衆により命を落とした者たちへの慰霊デモが開催されるようになった。今まで以上に大人たちの心が結託し、一つになった。
 
そして、その慰霊デモの統率者である、ジョンという青年が半壊したエミーの家を訪れた。
 
彼女は、半壊した家の中で一人、祈っていた。
 
「エミー、今まで酷い事をしてすまなかった…ぜひ、慰霊碑の前で祈って欲しいんだ。この町が元の活気あふれ、子供達が笑顔で笑うような場所になるように」
 
「はい、その言葉を待っていました」
 
「ありがとう、エミー。いや、我らのエミー、その小さな魔法で子供達の願い事を叶えてくれ」
 
そうして、エミーによる慰霊碑の前での祈りが、子供達の心を呼び戻すようになり、町はまた活気づいたのでした。
 
記者は言う。
「そう、それが60年前の話だったんですね」
「そうよ。私も若かったから、無茶をしていたのよ。恥ずかしいことね」
「エミー市長、今日は取材をどうもありがとうございました」
「ええ、いつでもまたいらっしゃい。そうそう、毎日の願い事の記事はもう郵送で送っておいたからね」
「おー。ありがとうです。エミー市長。子供達が毎日楽しみにしていますよ。願い事が叶ったって。大人達も同じくですね」
「そう、良かったわ。あら、紅茶がなくなりそうね。ジョン!紅茶のおかわりを持ってきてちょうだい」
 
「あー。わかったよ。持っていくさ」
 
「夫のジョンさんは、確か小学校の校長をされているんですよね」
「そうよ。ジョンからの、プロポーズの時に、この町に小学校を立てるのが夢なんだって言うものだから、私はこう言ったの。"私がその願い事を一緒に叶えてあげるわ"って。逆にあたしがプロポーズしたみたいになったわ」
「それは素敵ですね。今日はありがとうございました。これで取材は終わります。次回も市長との対談記事をお願いしますよ」
「ええ、また次週」
 
記者は帰って行った。するとジョンが、キッチン奥から紅茶を持ってきた。
 
「もう帰ってしまったのか」
「ジョンったら遅いわよ」
「まあ、いいじゃないか。こうして飲み合うのも久しぶりじゃないか」
「そうね。この状態も祈った結果だからね」
 
 
end...
 
 
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やや暗めの内容でしたが、ハッピーエンドになりましたね。